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研究手法

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混合ガス作成システム

低酸素ガスを吸入すると動脈中の酸素分圧が低下し、それが末梢化学受容器を刺激するので、換気量が増大します。換気量の増大は、二酸化炭素の排出を促進し、動脈二酸化炭素分圧が低下し、血管が収縮してしまい、動脈二酸化炭素分圧を安定化させなければ、低酸素ガスが血管を拡張する効果を評価できないことになります。しかし、この混合ガスシステムを自作してから、呼気終末二酸化炭素分圧及び呼気終末酸素分圧をコントロールできるようになりました。モニターに呼気終末二酸化炭素分圧、呼気終末酸素分圧、吸入酸素分圧、吸入二酸化炭素分圧を出し、それにしたがって、マニュアルで各ガスの流量を変え、混合ガスを作成しています。

 被験者様は、横の写真のようにマウスピースを咥え、それを通して呼吸をします。吸入する気体は、主として室内気で、それに窒素、二酸化炭素を混合したものになります。

低酸素負荷テスト

 下の画像は、酸素(緑)及び二酸化炭素(赤)の変化を示しています。呼気終末酸素分圧が100mmHgになるように吸入酸素濃度を調節しています。また、低酸素吸入により換気が増大しても呼気終末二酸化炭素分圧が低下しないように、吸入二酸化炭素濃度を調節しています。吸入二酸化炭素濃度を調節しなければ、低酸素吸入中は呼気終末二酸化炭素分圧は低下しますが、吸入二酸化炭素濃度が調節されているため呼気終末二酸化炭素分圧は下がっていません。 

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​血液容量・血流評価法

血管拡張の評価には、近赤外線分光装置(アステム社)を用いています。近赤外線分光装置を用いるメリットは、複数の箇所を観察できること、​経頭蓋超音波ドップラー法と比べると比較的容易にシグナルを得ることができることなどがあります。一方、デメリットは、光に弱く、髪の毛が多く額が狭い方は髪が邪魔してノイズが入ることがあります。汗にも弱いところもあります。皮膚からのシグナルも拾っている可能性があります。脳の表面しか観察できません。海馬や前帯状回など集中力や記憶と関連する領域のアクティビティは評価できません。近赤外線の照射から受光までの光が届く長さが不明であり、得られるデータは相対的な変化であり,絶対的な数値は得られないこと。シグナルの変化で、前頭極や側頭部の部位間の違いや高齢者と若年者等の個体間比較は、血流反応の大小の比較にはならないと考えられています。しかし、実際には、多くの研究で、個体間での脳活動の違いや部位間での違いが近赤外線分光装置を用いた評価法で抽出できています。それらのデメリットをふまえた上で、研究を進めています。

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下の写真は、低酸素テストにおける酸素と結合した酸素化ヘモグロビン;OxHb(赤)、酸素と結合していない脱酸素化ヘモグロビン:DxHb(青)、これらの総和のヘモグロビン:ToHb(緑)の変化を示しています。この時は4つのセンサーを前額部に装着していました。8分間のベースラインの後、10分間の低酸素を負荷しています。低酸素になると、酸素と結合していない脱酸素化ヘモグロビン:DxHb(青)が増えます。一方、酸素と結合している酸素化ヘモグロビン;OxHb(赤)は減少します。脳は酸素を蓄えることができないので、酸素の供給の変化に敏感で、酸素と結合している酸素化ヘモグロビン;OxHb(赤)が減少すれば、脳への酸素の供給が低下しないように、血管が拡張します。その反応が、緑のToHbから見て取れます。この低酸素負荷に対する近赤外線分光装置で測定した前額部のToHbの反応性から、脳血管の拡張反応性を評価します。

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